烈風の八ヶ岳 硫黄岳~横岳~赤岳 縦走

荒れた天候での硫黄岳から赤岳までの縦走なら、全く手に負えないと言うわけでもなさそうだったので、今回の計画として実行したわけだったけど、良い風が吹いていて、いい山だった。

赤岳鉱泉から赤岩の頭に抜ける登りは、じょうご沢や、大同心、小同心といったクライミングルートからの下山者も多いようでしっかりとしたトレースがついている上に、一定のリズムで、ジグザグに刻んでいるのが非常に登りやすかった。しかし、暗いうちからの出発だったので、所々風で飛ばされた雪で埋まっている箇所は判りにくい。
とはいえ、ミスコースしたとたんに埋まるので、わかりやすいと言えばわかりやすい。

曇っているので、あたりは真っ暗闇。暗闇はおっかない。視覚以外の感覚が呼び覚まされるのが判るけど、普段あまり使うことのない感覚だけに、過剰に反応したりしてしまう。

風が吹き、木がこすれ合って、悲鳴のような音を立てる。ハッとする。巨大な熊の爪のようなモノに身構えたと思ったら、ヘッドライトに写る木の陰だったり。
ちょっと明るくなるだけでもほっとする。
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視覚を奪われるだけでこのざまだ。なれない人が遭難したときに、幻覚幻聴その他諸々にやられるのがよくわかる。五感のうちのいったいどれだけを使えるのかと、つらつら考えながら登っているうちに、硫黄岳に着いた。看板には烈風によるエビのしっぽがびっしり。
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辺り一面真っ白白のホワイトアウト状態。どこに向かって良いやら皆目見当もつかない。さらに、時折対風姿勢もとらなければいけないほどの烈風と吹き付ける雪。

これだけで難易度は1ランク上がると思った。

人間にとって、先が見えない。自分がどこにいるか判らない。この先どうなっているか判らない。という状況は非常に恐怖や不安を駆り立てる。どういうそなえをすればいいのか?行けるのか?何が待ち受けているのか?ガイドブックはガイドブックでしかなく、今自分自身が直面しているモノこそ全てだと思う。

これは実生活でも大いに当てはまりそうだ。でも行きたいと思ったとすれば、行くしかない。

ここでお気に入りの一枚がとれた。目が白いのは、白目をむいているからではなく、吹雪でまつげが凍り付いたから。
全身が凍てついております。あと1時間もじっとしていれば、人間ごとエビのしっぽになりそうな勢いだ。
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硫黄岳から硫黄岳山荘までは、距離にしておよそ500メートル。しかし、せいぜい視界は20メートルしかないホワイトアウトの現状では、恐ろしく遠い。ケルンからケルンまで綱渡りといった感じだ。

しかし、ミスコースしてしまい、ケルンが見つからない。今回ほど地図とコンパスをフル活用した山行は初めてだった。ルートを東よりにとりすぎたので、南向きに修正。ミスコースした距離も計算して、やや西よりに進路をとったらケルンを見つける事ができ、本コースに戻ることができた。
この区間は100メートル置きぐらいでケルンがあるのがありがたい。
少し歩くと、硫黄岳山荘にたどり着いた。この近辺は風の通り道らしく猛烈な風。建物の陰で、白湯を飲むけど、ちっとも風よけになっていない。

この後建物はどこでもあまり風よけとして機能しないことが判った。風をさけるためには、建物よりも岩陰の方がよほどゆっくりと休むことができた。
しかし、建物の脇で休みたいのは、大自然の中にポツンと放り出されて、人の気配がなく、自分しか頼れないという心細さから、少しでも人の匂いのするモノの近くにいたいという精神的な安定を求める事からくるモノだと感じた。

台座の頭を越えてからは岩場となり、東側の急な雪壁にへばりつきながら何とかルートをこしらえながらトラバースしていく。こんな時、ピッケルは岩に引っかけてホールド代わりに使えるのがありがたい。

一歩ずつ足場を作りながら、下を見てはマイナス15度の吹雪だけが寒いのではないと実感しつつ、クリアしていく。そのご西面に移り、さらに東面と行ったりきたり。難しいのが最初の東面の雪壁ぐらいで、後は特にたいしたことはなかった。気がつけば横岳。
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こっから地蔵の頭までがずいぶん苦労した。全く方向感覚すらなくなってしまうようなホワイトアウトのおかげでかなりあちらこちらで迷った。あたりをうろうろして本コースを見つけ、またウロウロしては本コースに戻りを繰り返した。しかし、風は常に西からというのは非常に参考になった。エビの尻尾は何カ所も観察し続ける事で簡易コンパスにもなった。
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by ygenki | 2013-01-26 15:24 | 登山、アウトドア


自転車をこよなく愛する日記です。 日常の光景をストレートに書いています。


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